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● 第1回
──まずはキネティックノベルという企画について、お話しを伺っていこうと思います。

馬場 元々はエロゲです。エロゲをずっと作ってきていて、お客様が喜んでくれている声を聞いていると、段々何を求められているのかが分かってきた。それは何かというと、感情移入と臨場感。自分のペースで文章を読み、画面の向こうのキャラクターと会話する。そこに音楽があって、印象深いシーンが展開されている時、プレイヤーは自分自身が主人公として、その物語の中に存在しているように感じる。だからゲームへの最高の褒め言葉は、「この世界が終わってほしくない」。そんな楽しみ方ができるメディアはこの手のゲーム以外にないわけです。その楽しみを、一般化してより多くのお客様に楽しんでほしいということで、2004年11月にダウンロード形式で『planetarian』を提供し始めました。それがキネティックノベルです。ただ商業的には上手くいかなかった(笑)。

北村 あの当時はまだダウンロード販売自体が普及していませんでしたし、クレジットカード決済というのがお客さんから遠かったですね。
馬場 今にして思えば300円だったらよかったのかもしれません。当時は我々も携帯コンテンツやダウンロードについて手探りな部分がありました。
──実際にキネティックノベルという企画を聞かれた時、制作の立場からはどのような印象を受けましたか?

桜沢 私は出版に関わった経験もあったからですが、キネティックノベルという規格はライトノベルと親和性が高いな、という印象は最初からありました。そして新しい形式だから、最初はある程度知名度の高い方に制作をお願いしたいと考えて、榊一郎先生にお話しを持っていったんです。

榊 最近でこそ時間がなくて縁遠くなっていますが、私自身美少女ゲームをプレイしていました。『週刊ファミ通』で『ONE』のレビューを描いていますから(笑)。話は戻りますが、小説というのは、基本的に文章で表現します。その文章からどのようなものをイメージするかは読者にゆだねられるんですね。例えば「そこにイヌがいた」と書いた時、秋田犬をイメージするのかゴールデンレトリバーをイメージするのか、はたまた警察官をイメージするのか(笑)は、人それぞれ。この作業って、読者にとってめんどくさい作業でもあるんですね。それを手助けするために、我々は言葉を選ぶんですが、キネティックノベルでは画像があるので、読者も作者も、そうした部分を画像に託すことができる。これが一つの面白さだと思うんですね。その意味ではライトノベルとキネティックノベルというのは、小説というメディアの進化系として、同じベクトルにあるんだろうな、とは思いました。

魁 僕は美少女ゲーム側の作家なんですが、キネティックノベルは、より物語に特化したゲームメディアだと思っているんですよ。選択肢も一般的な美少女ゲームに比べたら少ないですよね。それと先ほど榊さんが言われたとおりイラストの存在は大きいと思います。ライトノベルの挿絵というのは、文章の合間合間にキャラクターや世界を絵で見せることで、読者さんの意識を統一させるのに、とても重要な役割を持っています。常にイラストを表示し続けるという意味では「キネティックノベルは小説の進化版」という考え方はよくわかります。作者の望む方向に読者のイメージを誘導しやすくなりますし。榊 例えばラノベで読者同士が「あのシーンよかったよね」と話したとします。でもそのシーンに挿絵がなかった場合、頭の中で再生されている映像というのは読者それぞれで違うんです。キネティックノベルだと印象的なシーンには一枚絵が入るので、そのイメージを共有できるんです。
北村 ライトノベルでは、読者に印象付けたいシーンを挿絵として指定する、というのがセオリーですね。その一方で、敢えて印象に残したいシーンから意図的に前後にずらすことで、重要な場面を想像してもらうというアプローチもあります。ただ演出をどうするかというのは、小説だと文章で表現するしかないんですよ。そこに難しさがあるのは事実です。
榊 「バカ」という一言でも、キネティックノベルで感動的な音楽が流れている中で、女の子が微笑みながら「バカ」って言っているのと、さも冷たい目で見下ろす絵があって、冷たい声で「バカ」というのでは、受け取るイメージが変わってきますよね。小説だとその前後で様々な描写をい書いていかなければ伝わらないんです。
北村 まさに「百聞は一見に如かず」の一見なんですよ、キネティックノベルというのは。受け手側の自由度は狭くなっているんですが、瞬間でそのシーンを理解してもらえる、という意味で入り口は広いですよね。その入り口の広さが、先ほど馬場社長が言われた「この世界にもっといたい」に繋がるんです。小説でそこまで思わせるのは、ものすごく大変なことなんです。なので、ライトノベルでは巻頭にカラー挿絵を入れて、世界観とメインキャラクター、それに雰囲気などを印象付けようとするんですが、キネティックノベルは、それをナチュラルに仕掛けることができるんです。
馬場 たった1枚の絵で世界観を啓示することができますからね。
榊 1ページ使えば作品のノリを提示できる作家さんはいます。でもどんなに素晴らしい作家でも1行や2行では無理ですねえ。そこをどう伝えていくかは、作家の永遠のテーマです。
北村 漫画は背景や擬音の書体で表現していますよね。それを音声とBGMという強力なファクターでやってのけるのが、キネティックノベルの強さです。
馬場 BGMはかなり大きいですよ。音楽というのは、人間の感情をとても誘導しやすい。例えば、寂しげな背景と悲しげな表情をした女の子を出して、悲しいBGMを流せば、プレイヤーの感情は一気にそっちに引っ張られていく。

寺澤 そういう部分を含めて、キネティックノベルは表現の幅が広がるメディアだなあと感じました。特に音のイメージは大きいですよ。例えば音声や絵が入ることで、よりライブ感のあるシーン表現ができますよね。以前スーパーダッシュ文庫から『銀盤カレイドスコープ』というフィギュアスケートをテーマにしたライトノベルが発表されましたが、あの作品は作者の表現力が豊かだったことで、非常にライブ感のある競技シーンを表現していました。でも、あのレベルに到達するのは本当に難しい。キネティックノベルであれば、そのハードルが少し下がるのではないかと期待しています。
桜沢 そう思っていただけていると、制作側としてはハードルが上がるんですけど(笑)。ただ、我々もSEひとつとっても、どのタイミングで流せば一番ユーザーさんにわれわれの意図が伝わるかというのは、綿密に計算して組み込んでいます。
榊 個人的にはホラーやサスペンスに向いていると思っているんですね。「このタイミングでこういうSEが出たらビクっとするよね」みたいな。そういうのを作ってみたいなあというのはあります。そこは音を使える強みですから。
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● 第2回
──ライトノベルの作り手側から見たキネティックノベルというのは、新しいメディアとしての魅力に満ちているようですね。
馬場 小説家の先生の文章力、描写力というのはもの凄いんです。実際に榊先生の『神曲奏界ポリフォニカ』にはビックリしました。でも、すべての優秀な作家先生がキネティックノベルに合う文章を書けるかというと、そうではない。例えば女の子の表情や場所の描写などは、キネティックノベルでは絵で表せます。そこを小説と同じように描写すると、キネティックノベルではテンポが悪くなってしまう。その一方でゲーム業界の作家陣はテンポのいい会話などは上手いんですが、立ち絵やイベント絵に頼ってしまうから描写力が磨けていない人が多い。キネティックノベルが成功しているのは、作家がキネティックノベルを理解した上で必要な描写力を発揮してくれているからですね。その相乗効果が素晴らしい。
魁 確かにゲーム作家は細かい描写を書きません。あえて書かないことで表現できることもありますし、その中で細かく描写すれば印象に残るという効果も期待できますので。でも、単純に書けないという人も少なくないですね。
榊 逆にキネティックノベルやゲームだから細かく表現できるというのもありますよ。例えば何もない日常シーンの繰り返し。小説ではそれは事実上、無理なんです。どうしてもページ数の制限がある。でもゲームだとそれができますよね。例えば50日続けて同じような平凡な朝食シーンを続けた後に、51日目に大きく変化をつけることでユーザーに強い衝撃を与えるとか。小説ではそれは絶対にできない手法ですね。
桜沢 ゲーム制作は積み重ねで、小説執筆は削る作業なんですよね。積み重ねるからこそできる表現というのは確かにあります。
魁 そういう意味でも、キネティックノベルはゲームと小説の中間に位置するメディアなんじゃないかな、と思います。ボリューム的にゲームほどの容量はないからこそ、そのバランスにちょうどいい物語というのがあると思いますから。
馬場 美少女ゲームというのは毎日を丁寧に克明に描いていくことによって、プレイヤーが臨場感を感じ、その世界の一員になれるんです。そこで登場人物を知り、世界を知った上で本当の物語がスタートする。でも、そこまでの長いお約束の時間が、一般の人には耐えられない。キネティックノベルは、美少女ゲームなら数十時間かけて表現するその日常部分を30分くらいで説明して、どんどん物語の核心へと進んでいく。だからこそ通常の美少女ゲーム以上に作者の表現力、描写力が必要になってくるんです。だからこそ美少女ゲームの作家よりライトノベルの作家に向いているんです。
北村 紙媒体の持つ難しさ、不自由さを、割とお手軽な形で取り払っていると言えるんじゃないでしょうか。その上で、今後携帯端末で楽しめるようになれば、PCすら必要としなくなる。ライトノベルの進化系のひとつ、と言えるんじゃないでしょうか。
──そんな中で、今回の『キネティックノベル大賞』はプロアマ問わずのオープン企画。さらに原作となる小説&シナリオ部門だけでなく、イラストや音楽も募集しています。この企画をスタートさせた経緯を教えてください。
桜沢 そろそろやりたいなあ、と言いだしたのは私なんです。キネティックノベルもヒット作が生まれ、認知度も高まってきてた。そんな中で新たなステージに向かいたいなあというのがありました。それと、今まではラノベとゲームというふたつの業界で実績のあるスタッフで作り上げてきましたけれど、それ以外からも広く新しい才能を発掘したいという気持ちもあります。これまではPCメインで展開してきたキネティックノベルですが、今後は携帯端末を始めプラットホームも多様化していきます。その中でキネティックノベルというメディアが生き残っていくためには、やはり新たな才能が必要だと考えています。
馬場 キネティックノベルも最初はPCゲームの制作スタッフで開発したけれど、あまりうまくいかなかった。そこへ桜沢さんが榊先生を連れてきたことで成功の道筋をつけた。やはり新しいメディアを展開するには、新しい力を入れていかなければならないこともありますね。
魁 個人的にはキネティックノベルの知名度をより高めるきっかけになってほしいと思っています。現在の美少女ゲーム業界というのは作品の巨大化が進んでいて、以前はシナリオも1MBあれば十分だったのが──これだってライトノベル5冊分ですが(笑)、今では3MB、4MBと増える一方です。必然的にボリュームは大きくなりプレイ時間は長くなる。値段だって安くはないですよね。そうなると、やはり一部マニア向けになってしまうんじゃないかという危惧はあるんです。そこでボリュームは小さく価格もやすいけれど、作品クオリティーは美少女ゲームと変わらないキネティックノベルは重要になってくる。この規模感じゃないとできない物語というのもありますしね。
馬場 知り合いのおばあちゃんが、「今は本しか楽しみがない」と言うわけです。テレビはやかましいし、映画は展開が早すぎる。そうなると、やはり最後に残るエンターテインメントとして「自分のペースで楽しめる」というのは重要なキーワードだと思います。キネティックノベルは今のところ萌えのように特化した楽しみ方であるんだけれど、将来的にはそれをも超えたエンターテインメントにしたいと。今回の大賞でそこまで踏み込むのは時期尚早にすぎますけどね。
榊 よく言われているのが、ハリウッド映画を支えているのは超大作ではなくてBスタジオ作品だということなんです。低予算で実験的な作品を作って、それが予想外のヒットとなることもある。美少女ゲームとキネティックノベルの関係性として、そういう部分があってもいいと思います。
北村 そもそもライトノベルというのはそういうメディアでもあったんです。本来供給側のリスクが少ない安価なメディアというのは実験的なこともやりやすい。でも現状のライトノベルは読者の嗜好が特化してしまっているんです。アニメは逆に製作費がかかりすぎてしまって、確実に当たる作品しか制作できない。こういう時に、間口が広くて製作費も抑えられるメディアというのは重要になってくるんですよ。
桜沢 そういう意味では、様々なジャンルの作品が集まってほしいですね。キネティックノベルは「こういうジャンルの作品を出す」というのが決まっているわけではないんです。ウチが次に出す『たのだん』はTRPGをベースにしているので、ダンジョンを冒険する演出や、ミニゲームを盛り込んだりしているんです。こういう挑戦もキネティックノベルという規模だからできることだと思うんですね。なので我々が思いつかないような作品が応募されてくると嬉しいですね。
馬場 世界観とキャラクターという二本柱がないと、キネティックノベルには馴染まない。このふたつがあった上で、文章がしっかりしたものを我々は求めています。その上で斬新なアイデアがあると、なお良しですね。
ライトノベルおよびキネティックノベルなどにおきまして、大迫純一先生の貢献は大きく、残念に思われます。遅くなりましたが、謹んでお悔やみ申しあげますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。 審査員一同
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● 第3回
──出版サイドとしての立場だと、いかがですか?
寺澤 ふたつの欲があります。ひとつ目はライトノベルとして手堅く売れる内容で、各種メディア展開に耐えうる面白さがあるもの(笑)。もうひとつは小説単体では表現できない作品が出てこないかな、というのはあります。文章だけでなく音声やBGMや絵が入ることで成立するものがあると思うんです。そういう作品は編集者のクリエイター気質が刺激されるんですね。「これをライトノベルとして出すときには、どういう切り口で見せようか?」とワクワクしてくる。なので審査にあたってはクオリティーが高く売れる目算の立つ作品と共に、「こういうことを考える人がいたか」と思える作品を拾い上げていきたいですね。
桜沢 キネティックノベルが何を土壌に生まれたかを理解した上で、一緒に新しいものを作りたいという意気込みのある方に、ぜひぜひ応募してきてほしいですね。
榊 今回はプロも参加できる大賞ですよね。実は何人かの作家から問い合わせがあるんですよ。それこそ基本的なことから「これに応募するとGA文庫や一迅社に囲われちゃうんじゃないの?」みたいなことまで(笑)。でも質問してくる作家は、やはり新しいメディアということで興味を持っているのは間違いんです。小説にはできない表現──例えば先程も言った様に、日常シーンを繰り返したり克明に描いたり、音で感情を動かしたり、そういうことを仕掛ける作品作りの試金石になるんじゃないかな、という話はさせていただいています。先ほど最初のダウンロードは上手くいかなくて、今なら300円で売るって馬場社長も言われたじゃないですか。それならば全13話みたいな構成で作品を作って、毎週ダウンロード配信するというやり方もできますよね。そういう柔軟性というのを感じている作家はいますよ。問い合わせてくるのは、それを感じているか、もしくは単純に賞金500万が凄いっていう人なんですけど(笑)。
馬場 500万カモーン!みたいな感じでんな(笑)。
榊 まあ、そういう人もいるってことで(笑)。あとは自分の中で表現したいアイデアがあるんだけれど、これは映像がないと難しいという人もいると思うんです。でもいきなり映画やアニメは無理でしょう。ならばキネティックノベルで、という人もいますしね。
魁 実験的とは違うのですが、あくまでゲームシナリオとして送ってくる人もいると思うんです。延々セリフだけが続いているとか。必ずしもそれがダメでと言うわけではないですけど。自然な会話で上手に情景を表現する手法はありますし。ただ今回の趣旨を考えると、ちょっと違うかなあと思います。
桜沢 ゲームメインで活躍されている方のセリフ回しって、本当に上手いんですよ。なので今回の大賞では、そこに加えてキネティックノベルとして+αがある作品を期待しています。
馬場 そういう部分の力量を見るためには、やはり小説という形が望ましい。もちろんキネティックノベル化するときは、それを脚本化するわけですけど。応募される方は「小説」を意識されるといいと思います。
北村 デビュー段階でキネティックノベル化が決まっていますからね。出版サイドからすれば意欲的な応募者にたくさん参加してほしいです。
寺澤 皆さん言われているようにキネティックノベルだからできるものもあるんです。そこを期待したいですね。もちろんキネティックノベル化は難しいけれど、小説としてむちゃくちゃレベルが高い作品というのも、個人的には期待していますけど(笑)。
──さて、今回の募集は第1回。今後に対する期待などもあると思います。
馬場 …………。
一同 (爆笑)
馬場 いや、もちろん続けたいとは思いますよ、出来る事なら(笑)。
桜沢 実際に今回もどれだけ応募があるか、わかりませんからねえ。
北村 ただ、今回の様に、こんなに多岐にわたるジャンルを一堂に集めた賞というのは、そうあるものではないんです。そこに可能性を感じてほしいですね。ある一つのひな型にハマらない作品でも、使える可能性を我々が見出したら、何かで使われるかもしれない。例えば小説だったら総合力で勝負しなければいけないし、イラストだったらかわいい女の子を描けなければいけない。キネティックノベルは、そもそもたくさんの才能が集まって制作するわけですから、どこかで引っ掛かれば採用される可能性があるわけです。
馬場 音楽などは1曲だけで採用されるかもしれないし、キャラも「このタイプのキャラだけ描いて」という話になるかもしれない。僕はよく社員に言うんですけど、世の中にはチームでしか作りあげられない種類の感動があるんです。そのために僕たちは結集しているんです。今回のキネティックノベル大賞も、応募された皆さんに「チームでしか作りあげられない感動」を味わっていただけることにつながる賞であればいいと思っています。
──それでは最後に、それぞれのお立場から、こういう才能を持っているというものをお願いします。
榊 今回の選考委員の皆さんは、私も何度かお会いしたことがある方たちですが、クリエイターとしても商業を見る目もしっかりしています。だからこそ中途半端なものは入り込む余地はありません。「これは売れる」「面白い」と思えば、これだけのメンバーがいるので必ず拾います。逆にいえば「これはこの賞には合わないかなあ」と変な力の出し惜しみをしてほしくはない。むしろ「この面白さを分からせてやるぜ」くらいの気持ちで応募してほしい。最終的には受賞する云々だけじゃなくて、それがいい結果につながると思います。
魁 キネティックノベルは物語がメインになります。他にも音楽やイラストなどたくさんの才能が集まりますが、やはりその中心にあるのは物語です。自分が中心となって、「この物語をキネティックノベルにするんだ!」という気概がある人を待っています。あと最近流行っているジャンルで勝負してほしくはないですね(笑)。会社にライター志望で作品が送られてくるのですが、キャラクターの設定や関係がまんま『CLANNAD』の岡崎・春原という物が多かったりします。それを見るたびにオリジナリティのある人はいないかなあと思います。大賞を狙うからには、何かを追いかける作品ではなく、自分ならではの作品を応募してほしいです。
馬場 軽音楽部はダメ?(笑)
魁 いやまあ、それはそれで(笑)。きちんと「自分の世界」として昇華できていればいいと思います。オリジナリティの溢れる作品を期待します。
桜沢 繰り返しになりますが、キネティックノベル自体がまだ固まったジャンルのものではありません。あまり形にこだわらずに、皆さんの好きなものをぶつけてほしいです。完成度が高いに越したことはないんですが、審査委員はポテンシャルを見極める才能にたけた人ばかりなので、臆せず応募してほしいですね。それで500万をもらったらバイバイではなくて、受賞した後に一緒に仕事をできる人を求めています(笑)。
榊 今、現場監督から生々しい声が入りましたね(笑)。
北村 私は出版社として参加しているわけですが、基本的には応募者の皆さんには、持っている120%を出してほしいですね。小賢しい作品はいらないんです。皆さんのど真ん中を直球でぶつけてほしいですね。どんな世界観がくるかわかりませんが、審査委員が「なんじゃこりゃ!(いい意味で)」と驚く作品をお待ちしています。
寺澤 繰り返しになりますが、キネティックノベルじゃないと実現できない作品を求めたいですね。絵があって音声と音楽もある。個人的に注目なのは立ち絵が常に表示されること。そういう部分を活かして、新しい提案を出してほしいですね。その上で小説としても読みごたえがあれば言うことがありません。せっかく第1回なので様々なチャレンジをしてほしいと思います。
馬場 キネティックノベル大賞は、今は無名の賞です。しかし受賞者が決定した後は我々の中で戦略的な展開をいろいろ考えております。ですから応募される方々は、もしも名誉ある第1回目の大賞を受賞したらその後の人生が変わるというくらいのつもりで、応募していただきたい。そして今回、いろいろな賞があります。実は私は昔から多くのスタッフに「ゲームに大切な物はなんだと思いますか?」と聞いてきたんですが、シナリオライターは「ゲームはシナリオです」、イラストレーターに聞くと「ゲームは絵です」、プログラマーに聞くと「ゲームはプログラムです」と答えるんです。つまりひとりひとりがゲーム制作のメインである気概を持って制作しているんですね。皆さんにもぜひその気持ちを持って応募してほしい。あともうひとつ。今は消費者がたくさんのエンターテインメントを大量消費している時代です。しかしそういう時代には、消費者の中から必ず何人かの傑出したクリエイターが生まれてきます。今まで楽しんだものを蓄えて、消化すると、やがて表現したくなる。貴方がそのひとりかも知れない。そのチャンスが今目の前にある。ぜひ頑張って挑戦して下さい。

Photo : KONISHI
Thanks : OHWADA(PHOTOSHOP HANA)
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